不動産ブログ
こんにちは。株式会社菊商事の森田です。
今日2020年3月14日、東京では雪が降りました。春の雪です。珍しい。
雪の降る様を見ていて、ふと、思いました。
そういえば、三島由紀夫の小説に『春の雪』ってあったな。たしか、大学3年のころに読んだな。
なぜ、思い出したのか考えてみると、昨日テレビで三島のことをやっていたからかもしれません。
あるいは、ぼくが今、『禁色』を読んでいるからかもしれません。
とにかく、そう思ったのでした。
三島由紀夫はぼくの好きな作家の一人で、いくつか作品を読みました。
『春の雪』を含む豊饒の海4部作、『金閣寺』、『鏡子の家』、『近代能楽集』、『潮騒』、『青の時代』…etc
どれを読んでも、「良い」と思うのですが、どこがいいの?と聞かれると、はっきり答えられません。
格調高い文体か、逆説性か、宿命か、悲劇性か、緻密な描写か、判然としません。
うーん…考えて、考えて、いま気が付いたのは、「何がいいのか分からないけど、確かに何かは良くて、その何かを知りたい」
と思うからいいのだということです。
なんだかぐるぐるしてきましたね。でも、「古典」というのはそういうものなのかもしれません。
作品そのものの中に問いが含まれていて、各々それを抜き出して、考え、新たな創作をする(もちろん、この「創作」にはものを書く以外のことも含まれます)。
そういう意味で、三島の作品はやっぱり古典といえそうです。
さあ、雪が降るのを見て、ここまで来てしまいました。しかしこれも、『春の雪』という本の力です。
だって、その本が書かれなければ、その本を読んでいなければ、このように「古典」というものを考えることもなかったかもしれないのです。
ぼくは本の力にひっぱられてしまったのです。
「古典」とは恐ろしいものですね。
さて、外を見るといつしか雪は止んでいました。もう少し、「春の雪」を見ていたかったな、というのがぼくの今の感想です。
三島が死んでもう何十年もたっています。ぼくが『春の雪』を読んでからも、5年くらい経っています。
そうして今、ぼくははじめて、春に降る雪を見たのでした。
更新日時 : 2020年03月14日 | この記事へのリンク :